『ネコの種類のおはなし』について

2000年、わたしがはじめてネコと暮らそうと思った時、いろんなことに無知でした。民間の保護団体や動物愛護センターで里親募集されている事実についても知りませんでした。
そして、ある日ペットショップで一匹のグレーの子ネコと出会いました。『なんてきれいなネコなんだろう!』と思ったわたしは抱っこをさせてもらい、結局そのままお金を払って連れ帰りました。ロシアンブルーという品種名がつけられたネコです。血統書がついていて高価、じゃあきっと健康で安心できるんだね、と無知なわたしは思いました。
そのネコ(ルルさん)は、若いうちからいくつもの病気を持ち、食事の管理や投薬が必要でした。ロシアンブルーのように、人為的交配によって作り出されたネコたちに、遺伝的な病気が発症しやすく、寿命も普通のネコたちに比べると短い子が多い…その事実を知ったときはとてもショックでした。長くいっしょにいられないかもしれないのですから。
もちろんお金(医療費)もかかります。そして何よりも、病気をかかえて生きるネコ自身がかわいそうです。
ルルさんは何年もの間、病気を薬でコントロールし、14歳で亡くなりました。とても長い闘病でした。

また、ブリーダーが人為的交配をさせてもその品種の特徴があまり出なかったり、体が弱い子ネコが生まれた場合、商品にならないという事実もあります。
ルルさんを迎えた1年後に出会ったロシアンブルー(ポロン)もそうでした。兄弟ネコだけペットショップに売られ、商品として認められなかったポロンは、犬のブリーダーがネコのブリーダーから委託されてインターネット上で売っていました。
やはり赤ちゃんのころから病気を持ち、一度は元気になり成長しましたが、9歳という若さで亡くなりました。この子にはなんの罪もありません。そして、商品になれなかったポロンは、私にとっては何の問題もなく、愛する家族でした。

人為的交配ではなく自然交配により産まれる普通のネコ(茶トラや三毛ネコなどさまざまな色、模様のネコ)のことを、多くの人は「雑種」と呼びます。でもそれは間違いで、人と暮らすネコ(家ネコ)に純血種は存在しません。ペットショップで売られているような品種名のついたネコ(多くの人が純血種と呼ぶネコ)は、自然交配により産まれる普通のネコたちから作られたネコですから、普通のネコたちがそもそも元からいたネコなのです。
値段がついていてもついていなくても同じ家ネコ(ドメスティックキャット)なのです。
優劣はありません。

このようなことを少しでもたくさんの方に知っていただくことによって、これからネコと暮らしたいと思った時の迎え方が変わるかもしれない、そして、それは不幸なネコが減ることにつながるかもしれない、そう思ってこのフリーペーパーを作る事にしました。

ぜひ、ご覧ください。
そして、まわりの方に広めていただけるとうれしいです。
とりごえまり
「ネコの種類のおはなし」ダウンロード(pdf)
*紙に両面プリントして二つ折りにし、ご利用下さい。
表面 裏面
表面 裏面
4.34MB 2.55MB
☆これと合わせて読んでいただきたいフリーペーパー
  『 ペットショップにいくまえに』(どい かや)

☆『ネコの種類のおはなし』の監修
  南部和也(獣医師・童話作家)